ワンガリマータイ、平和の種を蒔く
2011年に亡くなったケニアのワンガリマータイは彼女の植えた木のように逞しく堂々と活動していた。
彼女は環境保護活動家として、またアフリカ人女性として最初にノーベル平和賞を受けた人物だ。
「よりよい世界を」という願いを追い続けグリーンベルト運動を率いて何千万本と言う木を植え、八万世帯を超える家庭に収入をもたらした。
自然を守り人権を擁護したことで迫害を受けたが、投獄や暴力などの圧力に屈せずマータイは種を蒔き続けた。
開発による環境破壊、土壌の流失や栄養失調という問題を解決するためのグリーンベルト運動は在来種で果実がなる木を植えることから始まった。
その努力の報酬として参加者は木をうまく育てられたら一本につき幾らかを米ドルで手に入れられる。
また生活のために木を切ることは許されていたが、木を一本切るごとに二本植えることが奨励された。
マータイは語る。
「千五百万本の木を国中に植えることが私たちの目的でした。なぜならケニアの当時の人口が千五百万人であり、私たちのモットーは一人一本だったからです」
この計画を聞いて、ケニアの森林官は彼女を中傷した。教育も受けておらず、大半が読み書きもできない女性がこのような計画を達成できるわけがないと。
しかし最後に笑ったのはマータイと彼女の専門知識を持たない森林官達だった。
目標を達成したばかりか、この運動は国境を超えて近隣諸国まで広がった。
"When we plant trees, we plant the seeds of peace and seeds of hope. We also secure the future for our children"
「木を植える時、私たちは平和の種や希望の種を蒔いているのです。それはまた子供達の未来を確かにすることでもあるのです」
大きな問題に対しても、臆さず草の根で動く大切さと情熱を持つことの大切さを彼女は教えてくれる